• 複製

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    • 「複製」とは,印刷,写真撮影,複写,録音,録画,電子媒体への記録,手写などの方法により有形的に再製することをいいます。
      スマートフォンやタブレットで画面に表示されている文章や画像をスクリーンショット(スクショ)することも複製です。
      頭で記憶することは「有形的に再製」されていないので,複製とはいいません。

    • 複製と言えるためには隅から隅までそっくり同じである必要はなく,全体的に見て同一性があれば複製の範疇に含まれます。
      絵などの場合,手書きで描き写すと元の作品とそっくり同じにはなりませんが,そのような場合でも複製に当たります。
      「無断で複製したといわれないために,多少加工すればいい」という考え方がありますが,複製をした上で改変しているため,場合によってはより悪質な行為と評価されるおそれがあります。
      「書籍などの文章をコピー機を使って無断でコピーすることは著作権の侵害になるから,手書きすればいい」とか「(同様の考えで)自分でパソコンに打ち込めばいい」といった考え方も誤解です。

    • 脚本の場合,台詞やト書きの文章が印刷されている冊子をコピーすることが複製の典型的な例ですが,その脚本に基づき舞台で芝居が上演されていたり,その脚本に基づき生放送が行われていたりする場合に,その舞台公演や放送番組を録音・録画することも「脚本の複製」に当たります。
      建築物の場合,その建築物と同じ建物を建造することが複製の典型的な例ですが,まだ本来の建築物が建造されていない段階で,その設計図に基づき別の者によって建築物が建造された場合,「まだできていない建築物の複製」に当たります。

    • 多くの裁判例によれば,複製と言えるためには,既存の著作物に「依拠」していることと,既存の著作物に「類似」していることが必要です。
      したがって,第三者が見て非常によく似た二つの作品があっても,一方の作品の作者が他方の作品を見たことがなければ「依拠」したことにならず,どちらかが他方を複製したとはいえません。
      仮に「依拠」があったとして,その上で「類似」しているかどうかについては,元の作品の表現上の本質的な特徴が直接感じ取れるかどうかによって判断されます。

  • 上演

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    • 「上演」とは,楽器による演奏や歌唱以外の方法により著作物を演ずることをいいます。

    • 「上演」について著作権者の許諾を得なければならないのは,公に上演する場合です。
      「公に」とは,著作権法では「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」ということを意味しますので,例えば子供が幼稚園で習った踊りを親に踊って見せるような,特定少数の者に見せるための上演については,著作権者の許諾を得る必要はありません。

  • 演奏

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    • 「演奏」とは,音楽の著作物を楽器によって演奏したり歌唱したりすることをいいます。

    • 「演奏」について著作権者の許諾を得なければならないのは,公に演奏する場合です。
      「公に」とは,著作権法では「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」ということを意味しますので,例えば母親が子供に子守歌を歌って聞かせるような,特定少数の者に見せるための演奏や,風呂の湯船につかって自分の好きな歌を口ずさんだりするような,人に聞かせることを目的としていない演奏については,著作権者の許諾を得る必要はありません。

  • 上映

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    • 「上映」とは,著作物を映写幕その他の物に映写することをいいます。
      映画館で劇映画を上映する場合のほか,会議や授業で,プレゼンテーションソフトや書画カメラ(実物投影機)を用いて文章・イラスト・写真・動画などをスクリーンに投影することも上映に当たります。
      ただし,放送されている番組やインターネットを通じて配信されている動画のような,公衆送信される著作物をプロジェクタなどを利用してスクリーンに映写することは,「伝達」に当たります。

    • 「上映」について著作権者の許諾を得なければならないのは,公に上映する場合です。
      「公に」とは,著作権法では「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」ということを意味しますので,例えば親がレンタル店から借りてきたDVDを家族で視聴するような,特定少数の者に見せるための上映については,著作権者の許諾を得る必要はありません。

      映画の著作物に主題歌(曲)やBGMが収録されている場合,映画の上映に伴ってそれらの音楽が再生されますが,その場合も「音楽の上映」といいます。

  • 公衆送信

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    • 「公衆送信」とは,公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいいます。「公衆送信」の中には,「放送」「有線放送」「自動公衆送信」が含まれます。
      「放送」とは,テレビ放送,ラジオ放送など,公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいいます。
      「有線放送」とは,ケーブルテレビ,有線ラジオ放送,有線音楽放送など,公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいます。
      「自動公衆送信」とは,インターネットを通じた情報発信(動画配信,音楽配信,通常のWebサイトやSNSへの情報の掲載など)で,公衆からのリクエストに応じ自動的に行う有線又は無線の送信をいいます。
      「送信可能化」とは,送信サーバへの情報の蓄積など,「自動公衆送信」の前段階の準備行為(公衆からリクエストがあれば送信できるようにしておくこと)をいいます。

    • 著作権法では,「公衆送信」とそれに含まれる「放送」「有線放送」「自動公衆送信」の4つが定義されていますが,それらのほか,公衆から電話によるリクエストを受けて,それに対してファクシミリで情報を提供するような「手動公衆送信」も概念上は「公衆送信」には含まれます。

      「特定入力型自動公衆送信」とは,放送番組を,放送と同時にインターネットを通じて送信できるように,番組のデータをアップロードすることをいいます(放送番組の見逃し配信や追っかけ配信のためのアップロード)。

    • 電子メールは一般的には個人と個人との間の情報の送信であり,「公衆によって直接受信されること」を目的とした送信行為ではありませんので,メールに他人の著作物を添付して送信する行為に著作権者の公衆送信権は及びません(メールでの送信の前段階に著作物の「複製」が行われる場合もあります。それについては,私的使用のための複製などの「例外規定」が適用される可能性はあります)。
      しかし,同じ電子メールの機能でも,メールマガジンのように同じ内容を大勢の人に送信する場合は「公衆によって直接受信されること」を目的として行っていますので,著作権者の許諾を得る必要があります。

    • 学校では「校内放送」が行われますが,著作権制度では,発信する場所と受信する場所が同一構内にある場合の送信は「放送」に含まないとされています。
      そのため,昼休みに校内放送で音楽をかけたり作品を読んだりする行為は,「放送」ではなく「演奏」や「口述」と位置づけることになっています。

  • 伝達

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    • 「伝達」とは,公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達することをいいます。
      例えば,東京ドームで行われているコンサートをテレビ局が中継放送(公衆送信)している場合,その放送を放送エリア内にあるホールが受信して,受信した映像をそのホールに集まった人に対してスクリーン等の大画面に映し出して見せれば,(放送された)音楽を別の会場で伝達していることになります。
      公衆送信の中には,自動公衆送信も含まれますので,インターネットを通じて配信されている動画を受信して,会議室などの会場で大勢の人に見せることも(公の)伝達に当たります。

    • 「伝達」について著作権者の許諾を得なければならないのは,公に伝達する場合です。
      「公に」とは,著作権法では「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」ということを意味しますので,多少大きなスクリーンであっても,例えば家族だけで視聴するような,特定少数の者に見せるための伝達については,著作権者の許諾を得る必要はありません。

    • スポーツバーなどで大きな大会のゲームの中継を客に視聴させる場合がありますが,スポーツのゲーム(行われているプレーの様子)は著作物ではありません。
      競技場で応援の音楽などが演奏されている場合は,その音楽が(公に)伝達されていることになります。
      その他,著作隣接権としての放送事業者の権利の一つである「テレビジョン放送の伝達権」が関わってきます。

  • 口述

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    • 「口述」とは,小説,詩,短歌,俳句,論文,講演などの言語の著作物を,朗読その他の方法により口頭で述べること(読み聞かせること)実演に該当するものを除く。)をいいます。
      ただし,演劇的に口演したり朗詠したりするような場合は,「上演」や「歌唱」に当たります。

    • 「口述」について著作権者の許諾を得なければならないのは,公に口述する場合です。
      「公に」とは,著作権法では「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」ということを意味しますので,例えば母親が自分の子供に絵本を読んで聞かせるような,特定少数の者に聞かせるための口述については,著作権者の許諾を得る必要はありません。

  • 展示

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    • 「展示」とは,読んで字のごとく著作物を展示することをいいますが,「美術の著作物」と「まだ発行されていない写真の著作物」をこれらの原作品により展示する場合のみ,著作権者の許諾を得ることが必要になります。

      「原作品により」とされていますので,絵画の複製画や彫刻のレプリカなどを展示する場合には,著作権者の許諾を得る必要はありません。

      写真の場合,著作権者自身が又はその許諾を得た人が絵ハガキや写真集に掲載することにより発行されたことになりますので,まだそのような状態にないものを展示する場合に著作権者の許諾を得る必要があります。

      「展示」に関する権利は美術の著作物と写真の著作物にしか認められていませんので,例えば,小説家が書いた小説の生原稿や作曲家が書いた生の楽譜などを展示する場合に著作権者の許諾を得る必要はありません。

    • 「展示」について著作権者の許諾を得なければならないのは,公に展示する場合です。
      「公に」とは,著作権法では「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」ということを意味しますので,例えば画廊などで購入した絵を自宅の応接間に展示するような,特定少数の者に見せるための展示については,著作権者の許諾を得る必要はありません。

  • 頒布

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    • 「頒布」とは,有償であるか又は無償であるかを問わず,複製物を公衆に「譲渡」し,又は「貸与」することをいいます。
      映画の著作物については,公衆への譲渡と貸与を合わせた「頒布権」が認められていますが,映画以外の著作物については,「譲渡権」と「貸与権」に分けて権利が認められています。
      これは,映画の著作物に係る「頒布権」が現行法の立法当初から認められていたのに対し,社会における著作物の流通形態の変化に伴い,映画の著作物以外の著作物について貸与に係る権利や譲渡に係る権利が随時,追加的に認めらてきたことによるものです。

      一般的に「頒布」とは,多くの物を作ってばらまくような行為が想定されますが,映画の著作物の場合,1本のフィルムや1枚のディスクがあれば,それを用いて大勢の人に見せることができる(公衆の需要を満たせる)ため,上映の目的で1本(枚)のフィルムやディスクを譲渡・貸与することも「頒布」に含むこととしています。

    • 映画以外の著作物に認められている「譲渡権」については,最初に適法に譲渡された複製物を再譲渡(例えば書店で購入した書籍を読み終えて,古書店に売るなど)する場合,二度目以降の譲渡には譲渡権は及ばないという「権利の消尽」が規定されており,「頒布権」についてはそのような規定はありません。
      しかし,最高裁において,公衆に提示することを目的としない家庭用ゲームソフトや映画のDVDパッケージソフトの中古販売については,市場における商品の円滑な流通を確保するなどの観点から,いったん適法に譲渡されたことにより目的を達成したものとして頒布権は消尽するという判断が出されました。

  • 譲渡

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    • 「譲渡」とは,有償であるか無償であるかを問わず,著作物の原作品又は複製物(出版物,CD,楽譜,絵画,写真など)を譲渡することをいいます。

      著作権者又はその許諾を得た者によって公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物の再譲渡については,譲渡権は消滅します。
      例えば,小説やコミックの正規の書籍を購入し,それを読み終えた後に古書店に売ったり,音楽CDの正規品を購入し,聞き終えた後に中古CDショップに売ったりする場合,改めて著作権者から譲渡の許諾を得る必要はありません。

      通常のコンテンツの流通では,出版社やレコード会社が著作権者から著作物の複製の許諾を得る際に,同時に譲渡の許諾も得ていますので,いわゆる正規品については,譲渡に係る権利を気にする必要はありません。

    • 「譲渡」について著作権者の許諾を得なければならないのは,譲渡により公衆に提供する場合です。
      例えば兄弟間でとか,先輩から後輩に引き継ぐとかのような,特定少数の者の間で譲渡する場合には,著作権者の許諾を得る必要はありません。

    • インターネットを通じて見つけた著作物をダウンロード(複製)することがありますが,それらの中には著作権者の許諾を得ずにアップロードされているものである可能性があります。それをさらにコピーして友人にあげようとする場合,元の段階で著作権者の複製や譲渡の許諾を得ていない作品であれば,譲渡権は消滅していません(そもそも違法コンテンツについては,たとえ私的使用の目的であっても,違法なものであることを知りながらそれをダウンロードすることについては無断ではできません)。

  • 貸与

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    • 「貸与」とは,有償であるか無償であるかを問わず,著作物の複製物(出版物,CD,楽譜,複製画,プリントされた写真など)を貸与することをいいます。

    • 「貸与」について著作権者の許諾を得なければならないのは,譲渡により公衆に貸与する場合です。
      例えば兄弟間での貸し借りのような,特定少数の者の間で貸与する場合には,著作権者の許諾を得る必要はありません。

    • 実演家やレコード製作者に認められている「貸与」に係る権利とは内容が異なる部分があります。
      実演家やレコード製作者に認められている「貸与」に係る権利は,商業用レコードの貸与に限定されており,権利行使ができる期間やその内容についても,発売後1年間と,その後の著作隣接権存続期間に区分されています。

  • 翻訳・翻案

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    • 「翻訳,翻案等」には,翻訳,編曲,変形,脚色,映画化などが含まれ,既存の著作物に新たな創作行為を加味して二次的著作物を創作することをいいます。

      例えば,外国語の小説や論文を日本語に翻訳すること,民謡の楽曲をジャズ調にアレンジすること,平面的な絵画・版画,写真などを立体的な彫刻にすること,小説を舞台演劇化するために脚色すること,小説を脚本にし,さらにドラマや映画を製作すること,漫画コミックをアニメーション化すること,テレビドラマをコミカライズすること,作品の内容を要約することなどが考えられます。

      いわゆる「ファスト映画」は翻案に当たり,著作権者の許諾が必要です。

    • 「新たな創作性」がどの程度であれば二次的著作物になるのかについては,ケースバイケースで判断せざるを得ません。
      加味した行為にそれほどの創作性が認められない場合には,既存の著作物を「複製」したにとどまる(できたものは二次的著作物ではない)という可能性もあります。

      作品の要約については,その作品を紹介するために書誌事項に簡単な説明を加える程度(読んでみたいと思わせるような内容)であれば,翻案には当たりませんが,その作品の表現上の本質的な特徴が直接感じられるようなまとめ方(それを読めば原典を読まずに済むくらいの情報が得られるような内容)であれば,翻案に当たり,著作権者の許諾が必要です。

      動画の「早送り」視聴は再生上の機能の選択にすぎず,翻案には当たりまあせん。

  • 二次的著作物の利用

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    • 二次的著作物の原作の著作権者は,その二次的著作物を複製,上演・演奏,上映などの方法により利用する場合について,二次的著作物の著作権者と同じ権利を持っています。
      例えば,作家Aが外国語で執筆し出版された小説を,翻訳家Bが日本語に翻訳し,出版社Cがその日本語版を出版する場合,出版社Cは,Bに複製の許諾を得るとともに,Aに対してもBが翻訳した日本語版を出版することについて複製の許諾を得ることになります。
      小説が漫画コミックになり,さらにアニメーション映画になるような場合も同様です。

      上記の例について翻訳出版の実務では,出版社Cが原作者Aに対して出版の許諾を得る際に,翻訳家Bに代わってBの翻訳行為についても併せて許諾を得るケースもあります。